羊水の不思議
羊水、それはママの中にある小さな海・・・
赤ちゃんを育む いのちのゆりかご
- 赤ちゃんを守るクッションの役目 -
おなかの中の赤ちゃんは、薄い膜につつまれて羊水に浮かんでいます。羊水は、その99%がママの血液の成分から創られた水分。さまざまな衝撃から赤ちゃんを守る役目をしています。また、分娩の時には破水して、出産を助ける働きもあります。
羊水の中の温度は、体温より少し高い38度前後。この温度が赤ちゃんを感染から守っているそうです。
羊水の量は、妊娠が進むにつれて少しずつ増え、妊娠33週頃最も多くなります。その量は約800mℓにも。その後徐々に減り始め出産時には200~400mℓほどになります。
- 羊水の環境を赤ちゃんが調整 -
赤ちゃんは、この羊水を時々飲みこみ、また羊水の中におしっこもしています。意外な行動のようですが赤ちゃんが羊水を飲んだり、そこにおしっこをすることも、健やかな成長には欠かせない行為。羊水の飲みが足りなかったり、おしっこが足りなかったりすると羊水はバランスを崩し、トラブルの原因となってしまいます。
ちなみに、赤ちゃんは、お母さんから直接栄養をもらっているので、羊水から栄養を摂っているわけではありません。飲み込むことで、羊水をきれいにしていると言われています。
- 海を抱くママ、生命の進化をたどる赤ちゃん -
この羊水のなかで、えら呼吸をする魚のような形から赤ちゃんらしい姿にまで成長する胎児。その過程は、まさに太古の海で起こった生命の進化を再現しているかのようです。妊娠中のママは、その体の中に赤ちゃんと同時に海を抱いているのかもしれません。
私たちが海に懐かしさを覚えるのは、胎児の頃の記憶でしょうか、それとも生命としての太古の記憶なのでしょうか…。
そんな海と母のことを詩人・三好達治は、こんなふうに綴りました。
「海よ、僕らの使ふ文字では、お前の中に母がゐる。
そして母よ、仏蘭西人の言葉では、あなたの中に海がある」
三達達治・郷愁
※フランス語で母:mére、海:mer
おなかの赤ちゃんのために、
できるだけ「いい水」を選んであげたいですね。